今回の記事は、選手目線というより指導者目線でのお話をします。
皆さんの中に、人から何か聞かれて
「聞かれたからアドバイスしたのに全然実行しないじゃないか」
「せっかく時間取って答えたのになんなんだ」と思っている方はいらっしゃいませんか?
現在は、クラブチームの代表兼コーチとして子供達に走り方を教えており、2年前までは小学校の外部コーチをしておりました。
クラブチームとなると、選手やその家族の方々が「目的を持って」クラブチームに加入してくれるため選手のモチベーションもありその家族も協力的です。
部活動となると、
「とりあえず入部する」という方が少なからずおり、その家族もまた陸上競技には無関心なケースが多いように思えます。
相手が行動しない姿を見る度に
「私の話はつまらなかったかな…」
「聞かれていることと違ったこと答えてたかな」
「やる気にさせられなかった」
などと悩んだこともありましたが、いろいろ経験していくうちに
「どうやらこれは自分だけの問題じゃなさそうだ」
ということに気が付きました。
聞かれたことをどれだけ一生懸命わかりやすく時間とって答えても、相手が行動するかどうかは別なのです。
話をしても行動しない人の多くは「ラクしてそこに辿り着く方法を探している」というケースが多い気がします。
もし
「ラクして何かを成し遂げた経験」
があるのなら話せるかもしれませんが、
世の中にはラクして何かを得た人たちの方が少ないと思うので
「どうやって達成したのか」
「達成のために何が必要でどんなことをしたのか」
を実際の体験に基づいてわかりやすく熱量持って話したところで
「ラクして得たい人」
たちには
「違う、そうじゃない」
という情報にすり替わってしまう気がしています。
ラクして何かをしたいと思っている人に本気のアドバイスをしても
「そんな大変なのかよ…」
「そこまでやるのかよ聞いてねえ」となるので、話を聞いてもやらないという確率が高くなります。
ラクしたい人は大変だとわかると今度は「やらない理由」を探すはずです。
結局人生はコツコツやっていくことでしか好転しないのですが、ラクしたい人にそれをわからせようと思って躍起になっても仕方がないのです。
あとはそもそも論として答えを求めていない場合もあります。うまくいく方法を知りたいのではなく、うまくいっていないことを伝えたいだけというパターンです。
聞いてほしいだけの人の多くは
「頑張っている自分を見てほしい」
「大変そうな自分を知ってほしい」
という、承認欲求の塊である場合があります。
承認してほしいだけなので、具体的な方法や真っ当なアドバイスはいらないのです。
よくSNSを見てそう思います。
練習前に「これから練習するぞ」という投稿をした人を実際に投稿も見たし、競技場で練習している姿も見ましたが、真剣に陸上競技に取り組む姿は見られず、ずっと断章していました。全ての人がこのようなケースとは限りませんが。。。
こういう人に一番やってはいけないのが「大変そうですね」「すごいですね」と優しい言葉をかけること。いや、掛けたければかけてもいいんですけど、優しい言葉をかけると「この人は自分のことを認めてくれる」と思い込んで、どんどんそういう話をしてきて、結果として自分が疲弊する可能性が高いです。
今度は逆の立場の話で、
もしあなたが「せっかくアドバイスしたのに行動してもらえなかった…」と悩んでしまうなら、それはあなたがとても優しい人であることの裏返しです。
だって相手のために時間をとって、言葉を選んで、自分がやってきたことを話せるんですから。そしてそれが、相手のためになると思ってるんですから、優しくないはずがない。
優しいからこそ、相手が行動しないことで
「自分は相手の期待に応えられなかった」
と悩んでしまうかもしれません。だって行動しなければ、相手の現状は変わらないことをあなたは知っているからです。
だけど行動するかしないかは、結局相手次第なのです。
自分がどうやって伝えたかとは関係ないところで相手の意思が動く可能性があるということを知っておけば「自分のアドバイス通りになることだけが相手のためじゃない」という考え方になると思います。
話を聞いて答えた時点で、すでに相手の役に立てているのです。
まとめ
今回は聞かれたことに答えても行動しない人はいるということを知っておくだけで、少しラクになるという話をしました。
自分にできることなら、なるべく人の役に立ちたいと考える一方で、伝えた通りにならないことに頭を抱えたり悩んだりするかもしれませんが、相手が行動しない原因は自分だけじゃないとわかっておくことが重要なのだと思います。
そうじゃないと、自分を責めたり自信を失ったりすることにもつながるので、気をつけたい部分ですね。要するに人は簡単には変えられないので、必要に応じて自分の考え方を変えていく方が圧倒的にいいです。
しかし、1人1人とはしっかり向き合うべきだとも思います。
そして自分が人に何か質問をするときは、答えてくれる相手の時間を無駄にせず、かつ知りたいことを端的に伝え、教わったことは素直に試してみれる指導者でありたいです。