今回のブログ記事は、陸上競技種目である100m(短距離種目)に特化した内容となります。
よく指導を始めたての選手の中で
「100mの後半が苦手」
という悩みを抱える選手に対して
どう修正・改善していけばいいのか質問をします。
ほとんどの人たち(小学生〜高校生)が
体力をつける!
と答えます。
私はどんなことにも基本、「否定」からはいりません。
指導していく中で、選手自身に気付かせたり質問させたりするよう
指導者がうまく誘導できるかだと思います。
では、正しいことはなんなのか?ということなのですが、以下解説していきたいと思います。
100m走でなぜ後半速度が低下するのか
スタートして最大スピードに達した後、人間はいつまでも最大スピードで走り続けることはできません。
必ず減速します。
世界の一流スプリンターであっても、3-7%の速度低下がみられます。
「スタートの飛び出しが良くても後半置いていかれてしまう…。」
これは、たいていの場合、これらの選手たちは最大スピードがそこまで高くないことに起因しています。
100m 走の記録を向上させるための基本は最大スピードの向上です。
確かに、世界の一流スプリンターほど後半の速度低下が少なくなっているという報告はあります。
100m走タイムが良いほど速度低下率が小さいという報告もいくつか存在しますが、
最大スピードが高い選手は、
■最大スピードに到達する距離が長い傾向がある
■最大トップスピードに達するまでの時間はレベルによってあまり差がない
■最大スピードが高い選手は速度維持低下区間が短くなる
■100m走だけでみるとトップスピードが高いほど後半の速度維持能力が高いようなデータになる
以上のことから、速度維持能力が高いから記録が良いということにはなりません。
やはり、いかに最大スピードを高めるかが重要となります。
しかし、いくら最大スピード向上が大事だと言っても、後半の速度維持を軽視していいということに はなりません。
後半減速の原因
ストライド・ピッチの変化
減速局面では、最高速度局面と比較して、一般的にストライドはやや広くなり、ピッチが低下 します。これは、支持時間と滞空時間の両方がやや増加することによって起きるものだと言わ れています。つまり後半の速度低下は主にピッチの低下が関係してくるものと考えられます。
接地・離地距離、地面反力の変化
接地位置はより前方に、離地位置はより身体の近くになる傾向があります。
各関節角度・股関節トルクの変化
股関節を屈曲させる力の低下による、ひざを引き出すタイミングの遅れといえます。
膝関節
最高スピード局面と比べて、やや膝が伸びた状態で接地します。
回復期前半の角度が大きくなります。
股関節を引き戻すタイミングと速さの低下によって、自然と踵が引きつけられる力が弱くなったことに起因していると思われます。
足関節
足関節や膝関節を伸ばす筋力が疲労してくることによって、
より大きな関節角度(足首や膝がより伸びた状態)でしかうまく力が発揮できなくなり、
その結果、接地前の膝関節と足関節が伸びて、下腿がより後傾し、
それによって身体が浮いたような走りになると推測されます。
まとめ
ここまでで、だいたいの100m後半失速の原因というのが少しでも理解できたかと思います。
走りの「理論」を語る上でどうしても難しい話になりがちですが、
いかに分かりやすく、伝えるのが指導者の役目だと思います。
重要なことは、効率的な走りをするために目的に合致したイメージを創造することです。
客観的な事実をもとに、選手自身の感覚を大切にし、
より効果的な走動作をするための意識 (イメージ)を日々探求していくことが大切なので、指導する選手にしっかり意識させれるようにしていきます。
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