陸上競技をはじめとするスポーツでハイパフォーマンスを目指すには、単に走り込んだりウェイトトレーニングをするだけでは不十分です。「練習前後の栄養補給」がしっかりできているかどうかで、疲労回復や筋力向上、さらにはケガ予防にも大きな差が生まれます。ここでは、「なぜ練習前後の栄養が重要なのか」から、具体的な補食アイディア、タイミング、注意点までを深く掘り下げて解説します。
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目次
なぜ練習前後の栄養補給が重要なのか
トレーニング効果を最大化するため
• 練習前に必要なエネルギーをしっかり摂取しておけば、身体を動かす際にエネルギー不足に陥るリスクが下がり、質の高い動きができる。
• 練習後に適切な栄養を摂れば、筋肉の修復やグリコーゲンの再合成が促進され、次回の練習に向けた体の準備がスムーズになる。
疲労回復と怪我予防
• 練習後の栄養補給が遅れると、筋肉や関節周りの修復が追いつかず、疲労が蓄積。結果的にパフォーマンスの低下やケガのリスクが高まる。
• 特に陸上競技の短距離・中長距離・跳躍などは筋肉への負荷が大きいため、しっかりリカバリーしないと練習の効果を発揮しにくい。
体組成の管理にも影響
• 適度な炭水化物とタンパク質を摂取することで、筋肉量を維持・増加させつつ、余分な脂肪をつけにくい体を作ることが可能。
• 練習直後に何も食べず、空腹のまま長時間放置すると、筋肉の分解が進みやすくなるというデメリットも。
練習前の栄養補給:エネルギーと消化のバランス
練習1~2時間前に摂りたい栄養素
• 炭水化物(糖質): 主なエネルギー源。白米・全粒粉パン・オートミール・バナナなどを中心に摂る。
• 少量のタンパク質: 筋分解を抑えたり、持久力を底上げする狙い。チーズ・ヨーグルト・卵などが手軽。
• ビタミン・ミネラル: 果物や野菜ジュース、スムージーで補い、疲労や貧血予防も意識。
消化に負担をかけない工夫
• 練習直前は高脂質の食品を避ける: 揚げ物や脂質の多い加工食品は胃に留まる時間が長く、走ったり跳んだりすると気持ち悪くなる場合が多い。
• 食べ過ぎ注意: 空腹すぎるのも問題だが、満腹状態で練習するとパフォーマンスが落ちる。腹八分目を目指そう。
朝練の場合の対策
• 起床後すぐに食べられないときは、エナジーバーやバナナ、ゼリー飲料など、さっと摂れるものを活用。
• どうしても胃が受け付けない場合は、少量でも炭水化物を入れた後、練習後にしっかりと朝食を摂る。
練習後の栄養補給:ゴールデンタイムを逃さない
練習直後30分~1時間の「ゴールデンタイム」
• 運動後は筋肉のグリコーゲン回復やタンパク質合成が活発になる。ここで**「炭水化物+タンパク質」**をセットで補給すると、疲労回復と筋肉の修復が効率的に進む。
• 水分や電解質も同時に補給し、脱水や筋肉のけいれんを防ぐ。
「炭水化物+タンパク質」補食の具体例
• プロテイン+おにぎり: 手軽&満腹感も得やすい。
• ヨーグルト+フルーツ(バナナやベリー): 糖質とタンパク質、ビタミン、ミネラルを同時に取れる。
• 卵入りサンドイッチ: コンビニでも入手しやすく、適度な糖質と卵のタンパク質を確保。
• チキンライスボウル(小分け): ご飯+鶏肉+野菜がひと皿でまとまっていると、炭水化物・タンパク質・ビタミンがバランス良い。
水分補給と塩分・ミネラル
• 運動で失われた水分や塩分を速やかに補給。スポーツドリンクのほか、暑い季節には塩タブレットなども活用。
• マグネシウムやカルシウムが不足すると疲労やけいれんを起こしやすいので、豆乳やナッツ、小魚なども日常的に摂ると◎。
忙しいときこそ使える補食アイディア
コンビニ利用術
• おにぎり(梅干し、鮭、ツナなど脂質の少ない具): 炭水化物メインで胃への負担も少なめ。
• サラダチキンやゆで卵: タンパク質補給をシンプルに行える。
• ゼリー飲料・エナジーバー: 練習後すぐには食欲がないときや移動の合間に。糖質+ビタミン入りタイプを選ぶとより良い。
作り置き・冷凍保存
• 冷凍おにぎり: 休日にまとめて作っておけば、レンジで温めてすぐ食べられる。
• カットフルーツ(冷凍果物): スムージーやヨーグルトに加えやすい。
• 鶏肉や豆腐の下味冷凍: 夜練後の夕食準備を簡単にして、疲れていてもタンパク質をしっかり摂取。
飲み物で手軽に栄養補給
• プロテインシェイク: 水や牛乳、豆乳に混ぜて数十秒で準備完了。
• ブレンダーやミキサーを使ったスムージー: 好きな果物+野菜+ヨーグルトや豆乳をベースに、簡単に栄養バランスUP。
練習前後の栄養補給で意識したい注意点
摂りすぎに注意
• 疲れているからと高カロリー食や甘いものを大量に摂取すると、エネルギーオーバーで体脂肪増加や胃もたれの原因に。
• 特に夜遅い時間帯の練習後は、揚げ物など脂質の多いメニューを避け、消化しやすく高タンパクな食事を選ぶ。
食物アレルギーや消化能力への配慮
• 牛乳や小麦、豆類など、アレルギーを持っている場合は別の食材で代替する。
• 個人差が大きいので、練習中に腹痛を起こしやすい食品は避け、実際に色々試してみることが大切。
体重管理と栄養不足のバランス
• 減量を考えている選手でも、練習前後の栄養補給を極端にカットするとパフォーマンスが著しく低下する。
• 逆に、しっかり栄養を補給すれば、練習の強度を上げられるため長期的には体脂肪が減りやすく、無理なく引き締まった身体を作れる。
1日の流れをイメージした具体例
朝練(6:30~7:30)
• 起床後:バナナ半分+スポーツドリンク(少量)
• 練習後:プロテイン+おにぎり1個 or ヨーグルト+フルーツ
• 朝食:帰宅後、卵や野菜を加えたバランスの良い定食メニュー
昼練(部活や昼休みなど)
• 昼食のタイミング:おにぎりやパン、プラスゆで卵やチーズでタンパク質を意識
• 練習後:短時間で食べやすいゼリー飲料か、牛乳とシリアルバー
夜練(19:00~21:00)
• 夕方:軽めの補食(バナナ、おにぎり半分、サラダチキンなど)
• 練習後:プロテイン+すぐ食べられる補食(ミニサンドイッチ or 冷凍おにぎり)
• 夕食:帰宅後に遅い時間でも胃に負担の少ないメニュー(魚、味噌汁、野菜中心)
まとめ:日々の補食が競技力を支える
1. 練習前は炭水化物メイン+少量タンパク質でエネルギー切れを防ぐ
2. 練習後30分~1時間のゴールデンタイムに「炭水化物+タンパク質」でリカバリーを加速
3. 水分・電解質補給で脱水やミネラル不足を防ぎ、ケガ予防にも配慮
4. 忙しいときこそコンビニや作り置きを活用して無駄な空腹時間を作らない
5. 体重管理やアレルギーにも注意し、無理のない範囲で最適な栄養補給を探る
練習の質と量を上げたいのであれば、同じくらい練習前後の栄養補給に意識を向けることが大切。毎日の小さな工夫が体の変化を生み、長い目で見れば自己ベスト更新やケガ予防につながるはずです。ぜひここで紹介したアイディアを参考に、あなたのライフスタイルと競技スケジュールに合わせて栄養戦略を組み立ててみてください。
UACAからのワンポイント
「忙しすぎて食べる暇がない」「何を食べればいいかわからない」といった悩みは、実はアスリートに共通の課題。少量でも栄養価の高い補食を取り入れ、こまめに水分や電解質を摂る習慣をつけるだけでも、体の反応は大きく変わりますよ!