UACAでは具体的にどのような熱中症対策を取り組むのか。
熱中症対策① 外部冷却と内部冷却を併用
身体冷却には外部冷却と内部冷却の2種類があります。外部冷却は身体の外から冷却する方法で、皮膚温の低下に効果的とされています。スポーツの現場で最も頻繁に行われているアイスパックを用いた冷却や水風呂(冷水浴)、風の利用のほか、より効果的とされるアイスベスト(保冷剤を収納したベスト)の着用も外部冷却に含まれます。
外部冷却を行うと皮膚温は瞬時に低下するため即効性が高く、暑さ対策としては極めて有効な手段といえます。冷たさを感じる感覚器の密度は一般に前額部(おでこ)で最も高く、次に胸、前腕と続きます。氷を額にあてることが好まれるのは、温度を感じる感覚器が密集していることも関係しているようです。
一方、深部温は狭い範囲の外部冷却ではほとんど変化しないそうです。
深部温の低下に有効だと考えられるのが、内部冷却を組み合わせた方法です。内部冷却は身体の内部からの冷却、冷たい水を飲む(冷水摂取)ことなどを指します。細かい粒子状の氷(アイススラリーやクラッシュアイス)を飲むことで、ただの冷たい飲料を飲むより冷却効果が期待できます。これは、氷のまま体内に取り込むことでその融解熱の分が上乗せされて、身体の内部から熱を奪うからです。
アスリートは外部冷却、内部冷却それぞれの方法をいくつか組み合わせて行うことで、皮膚温と深部体温の低下を図っています。外部・内部冷却の併用はとくに気温や湿度が高いときに効果的です。
熱中症対策② 「前腕冷却」が効果的
手軽に行うことができ、効果的な方法として、前腕部を冷水に浸ける『前腕冷却』があります。具体的な方法は次の通りです。
(1)バケツなど、水のたまるものを用意する。大きめのクーラーボックスでもよい。
(2)水をためた容器に手掌部から前腕部を浸ける。水温は13~15℃付近で行うと、痛みを伴うことなく感覚的な冷涼感も大きくなる。長いほど効果が期待できるが、短時間でも冷涼感や皮膚温の低下は得られる。
(3)大きめの容器がない場合は、冷やしたペットボトルを握ったり、その水を前腕や手にかけたりするなどして、腕からの熱放散を促す。
同様に、脚を冷やすのも効果的です。腕や脚は体幹部と比較して表面積の比が大きく特殊な血管を備えているため、熱を身体の外に逃がしやすい構造となっています。論文では、体幹部の表面積比を1とした場合、腕は5倍、手指は22倍、足では69倍にもなるといわれています。
熱中症対策③ 体重の2%目安で水分補給
また、水分補給の面でも熱中症対策のための工夫があるといいます。
アスリートは運動前と比較して運動後の体重損失が2%以上とならないように、運動中のみならず、運動前から計画的な水分摂取を行っています。
脱水が体重の2%までであれば著しい体温上昇の心配はありませんが、それ以降1%の脱水につき、直腸温の約0.3℃の上昇と心拍数の増加(約10拍/分)が引き起こされます。具体的には2%の脱水で持久性パフォーマンスの低下、3%以上で瞬発的なパフォーマンス発揮の指標となるジャンプ力が低下するといわれています。
発汗によって失われた電解質を補給するためには、色々言われておりますが理論的に考えるとスポーツドリンクが有効です。成分の目安は糖質であれば、3~8%(3~8g/100ml)、電解質(ナトリウム)は40~80mg /100ml程度(0.1 ~ 0.2% の食塩水に相当)が目安になります。経口補水液はこれより少し塩分濃度が高く、0.3%弱の食塩濃度です。
糖質が入った飲料の吸収速度は5~15℃程度で摂取したほうが、25℃以上より吸収性が高いことがわかっています。腹痛を起こしやすいなどの問題がなければ、冷やして飲んだ方が効果的だということです。10分で150ml(紙コップ1杯分)程度を目安としてください。運動後に体重の減少が2%以内に抑えられていれば、水分補給量は適量(適切)であったと考えてよいでしょう。
猛暑の中でもアスリートたちは、圧倒的なパフォーマンスを発揮しています。これから県外での大会が増え、私たちが住む青森より気温や湿度が高くパフォーマンスの発揮が難しい可能性があります。効果的な身体冷却と水分補給の方法を知り、私たちの暑さ対策に役立ててみましょう。
下記記事より参考・引用
https://news.yahoo.co.jp/articles/5058d5402f9bb315346098b8e3152eb189edaa9d