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【解説】#5 子供のうちにやるべき「からだ」のトレーニングのポイント

【解説】#5 子供のうちにやるべき「からだ」のトレーニングのポイント

今回の記事は、「解説シリーズ」の第5回目です!

今回のテーマはUACA各コース内で多い質問をテーマとしました。

ズバリ、

子供のうちにやるべき「トレーニング」とは??

というテーマのもと解説します。

幼いころから特定のスポーツ種目に絞って、高頻度多量の練習を行うことの弊害

結論

基礎体力・運動能力が全面的に向上しないケースが多い

そうです。

スポーツの練習を長時間やっているからといって運動能力が向上するとは限らないそうでし。

下記著書の中に以下の例が載っておりました。

“小学6年生を対象にした、いわきFCジュニアユースカテゴリーの入団テストの際に、フィジカルテストを行いました。その結果、立ち幅跳びと長座位体前屈が同年代の全国平均値を下回り、小学校低学年平均の結果でした。”

小俣よしのぶ. 「スポーツ万能」な子どもの育て方. 竹書房. より
小俣よしのぶ. 「スポーツ万能」な子どもの育て方. 竹書房. より抜粋

この文面を目にした時に予測できたものとして、

サッカーの基本練習のほとんどは、パス・シュートによるキック動作や、足先でのドリブル動作、試合時間に耐えうる持久走など、、

身体の柔軟性を高めるようなものや大きくジャンプしたり、走る時のフォーム修正を行うことなくガムシャラに取り組んでいることが一つの要因かなと感じました。

クラブ生でも多いものですが、

スポーツを始めたての子供は、自らがやりたいと望む動機(内発的なモチベーション)が明らかに低いことが多いです。

※性格的な問題もあるかと思いますが。

また、

たくさん走らせてください

たくさん鍛えてください

などのお声もありますが、

体も著しい成長段階にある小学生に、高強度で多量のトレーニングを、高頻度で課せば、怪我のリスクが跳ね上がるどころか、トレーニングの効果が得られず、

子供の身体の成長を阻害する可能性すら高まります。

強いカラダ作りを実施するとしたら、

骨、筋肉や腱、じん帯、血管、臓器など、身体のあらゆる組織が成長するためにも、「身体づくりに回せるエネルギー(利用可能エネルギー)が余る」ことが重要です。

材料とエネルギーが十分になければ、強い身体は作られません。

ハードで長時間のトレーニングは、多くのエネルギーを消費するので、この身体づくりに回せるエネルギーが不足しやすくなってしまいます。

身体の色々な部位、機能を使って身体を動かすように仕向け、負荷を分散させて、怪我のリスクを減らすことも、色々なスポーツ種目に触れる大きなメリットです。

一つのスポーツ種目に絞ったトレーニングばかりだと、その種目で良く使う部位のみに負荷が集中し、怪我のリスクは高まると考えられます。

よく中学・高校生コースの子達にサイド、バックステップそして“ボール”を活用した動きを行ってもらうと動きがとてもぎこちない様子が多々見られます。

子供のトレーニングにおける望ましい考え方

以上のことから、早期に種目を絞ってハードな専門トレーニングを子供のころから課すことは、「基礎体力・運動能力が全面的に向上しにくく、内発的なモチベーションが向上しにくく、怪我のリスクが増えやすいので避けましょう」ということが基本になっています。

最近の研究でも、よりトップに登り詰めたアスリートは、幼少期・青年期で様々なスポーツの練習が多く(遊びで触れるレベルではなく、コーチ主導の練習)、メインスポーツの開始が遅く、メインスポーツの練習量が少なく、初期のレベルの向上が鈍かったことが示されています(Barth et al., 2022)

子供のうちにやるべき「からだ」のトレーニングのポイント

UACAでは特に小学生の各コースで以下の3点を特に意識して実施しております。

(中学・高校生コースでもウォーミングアップの一環でも取り組んでおります。)

①基礎運動能力を向上させるトレーニング

②基礎体力を向上させるトレーニング

③単調で、飽きないトレーニング

まずは、①の基礎運動能力の向上は、自分自身の身体を自由に動かすための能力を伸ばす目的があります。

②の基礎体力に関しても、①で伸ばした能力も継続(持続)して行えないといけません。いくら身体を操る能力が高くても、粘り強く動けないとスポーツの成績は良くなりません。

③に関しては、さまざまな能力を向上させていくために毎回「楽しく」行えないと、クラブでの練習に行きたくなくなり、無理やり行わせてもその生徒はただ苦痛なだけです。

より遊び要素を含めつつ興味を掻き立てるような工夫を凝らし、あっという間に時間が過ぎるような感覚で練習会を進行する事が大切だと思っています。

以上3点を意識し各コースメニューを作成しておりますが、

「親が習得させたいこと」、「子供が望むこと」、「その時期に子供が習得すべきこと」の3つは必ずしも一致しないことがあります。

速く走るためのフォームを習得させたい保護者の方とクラブで楽しく練習したい生徒の方がいたとするとそこですでに一致していない可能性があります。

指導者としては、

「こんな感じで走るんだよ」と見本を見せてもらっても、すぐに習得できてしまう子と、そうでない子がいるのには、この前提となる能力の差が関連しています。

どんなスポーツを行う、教わるにしても、まずこの前提能力の育成が優先です。

一見遠回りなようですが、「上手くなる」ためには、こちらの方が近道だったりします。

基礎体力運動能力の高い、外遊びを良くする子は、やったことのないスポーツでも、ちょっと教わるだけですぐできてしまうことが多いです。

UACAのコーチ陣は、常に

その子がまず、主として習得すべき能力は何か、その習得を促すためには何が必要か?

を日々考えながら、これからも指導に当たっていきたいと思います!

生徒・保護者の皆様もそこのところを理解していただけると嬉しいです。

それが伝わっているのか、クラブでアンケートをとると大変多くの方々にまず

UACAは楽しいクラブ

というお声をいただいております。

もちろん、メリハリがあることが大前提ですが、

しっかり気を引き締めて指導にあたるように心がけておりますので今後ともよろしくお願いします。

以上、解説記事でした!

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