1回目では、BLS(一次救命処置)の大切さを解説しました。
本日は、私が分かる範囲ではございますが、BLSに関して解説させていただきます。
写真:日本ACLS協会ガイドより
(以下、ガイドライン2015に基づき記載)
1.周囲の安全を確認
救助者の安全を最優先し、二次災害を防ぐためにまずは周囲の安全を確認します。
例えば、道路上で倒れている人がいるとして、周りを見ずに助けに行ってしまうと車やバイクなどに轢かれる可能性が高い。
まずは、自分自分の生命を守ることが大事です。
助けに行ったのに、助けなくちゃいけない人を助けずに自分も倒れては大変です。
2.緊急通報とAEDを要請
大声で叫んで助けを呼ぶなど、周囲の人に119番通報とAEDの手配を頼みます。
AEDに関しては、現在公共の施設や各学校には設置されている機械です。講習を受けた人はもちろん、講習を受けたことがない人でも電源させつければ音声アナウンスにしたがって操作することが可能です。
よく、110番と間違える方がいますが救急車を呼ぶ場合は119番となりますのでご注意ください。
3.呼吸を確認
普通の呼吸が確認できたら、回復体位(横向き)にして救急車を待ちます。
呼吸をしていない、もしくは正常な呼吸でない場合はCPR(心肺蘇生法)を開始します。
ここで大事なのは、正常な呼吸をしてない場合や「呼吸をしているか分からない」という場合は速やかに心肺蘇生法を行うことが大事です。
4.CPR(心肺蘇生法)を開始
胸骨圧迫(心臓マッサージ)からはじめます。人工呼吸ができるようなら行いますが、胸骨圧迫のみでも構いません。
胸骨圧迫
胸骨圧迫は心臓マッサージといわれるもの。
胸の真ん中に手の付け根を置き、肘を真っ直ぐ伸ばし上半身の動きで、少なくとも5~6cm程度沈むよう、1分間に100回のテンポで圧迫を繰り返します。
気道確保
頭部後屈あご先挙上法といい、
あごを上に向かせることで気道確保ができます。
口の中に異物がある場合、できる範囲で除去します。
人工呼吸
鼻を押さえ軽く胸が上がる程度に息を吹き込みます。人工呼吸の間隔は、胸骨圧迫30回毎に2回が目安。
ですが、現実的に新型コロナ感染症や口から出血している方がいる場合はリスクしかないので、
胸骨圧迫(心臓マッサージ)のみでももちろん構いません。
5.(AEDが入手できた場合)AEDで解析
AEDは一般の人でも簡単に使えるよう、操作を自動化しています。電気ショックの必要性はAEDが判断しますので、音声ガイダンスに従い、指示されれば電気ショックを行います。電気ショックの後は、すぐに胸骨圧迫からCPRを開始します。
AEDの使い方
a.電源を入れる
b.音声指示に従う
c.電極パッドを胸に貼る
d.ボタンを押して電気ショック
AEDを使用する注意点として、
(1)湿布などの貼り薬を貼っている場合
AEDの電極パッドを貼り付ける箇所に、湿布など貼り薬が貼ってある場合は必ずはがしてから使用しましょう。貼ったままAEDを使用すると、正常な効果が得られなかったり、該当部位にやけどを負ってしまう可能性があります。
(2)ペースメーカーや除細動器が埋め込んである場合
心臓に疾患があり、元々ペースメーカーや除細動器を使用している人の場合は、それらが埋め込まれた箇所(外から見て突起が確認できます)を避けてAEDの電極パッドを貼り付けるようにしてください。
(3)体毛が非常に濃い場合
AEDの電極パッドを貼り付ける心臓付近の体毛が非常に濃い場合は、貼る前にAEDに備わっている剃刀や脱毛テープで毛を除去してから処置する必要があることがあります。
体毛によりパッドが肌に密着しないことで、エラーメッセージがでたり、正常な効果が得られない可能性があります。
日本人では、そこまで体毛が濃い人は中々いないと思いますが、、、(ガイドライン2015には注意点して記載なし)
(4)金属製品が電極パッドに付着する可能性がある場合
ネックレスなどの金属製品が心臓付近にある場合は、電気ショックによる火傷の原因となるため、可能な限り取り外します。外すのに時間がかかるようなら電極パッドから遠ざけてから処置を行いましょう。
(5)処置する人の体が濡れている場合
体が濡れていると、正常にAEDの効果が得られない可能性があります。処置する人が感電するなどの心配はありませんが、体が濡れている場合は電極パッドを貼る胸部周辺を拭いてから処置を行いましょう。
6.BLSの継続
正常な呼吸など心拍再開とあきらかに判断できる反応がない限り、CPRは中断せずに続けます。
CPRを2分行い、AEDで解析、指示されれば電気ショック、を繰り返します。
青森市の救急車平均到着時間は救急要請してから7〜8分となります。
そのため、このBLS(一次救命処置)がとても必要です。
【編集者まとめ】
前回も書きましたエリクセン選手もこのBLSが行われて蘇生したとのことです。
心臓マッサージする力加減などで骨を折ってしまわないか怖いという声はよく聞こえますが、
やらないよりやる方が蘇生率は上がります。
心停止から1分ごとに、救命率は7〜10%下がります。その間に、あなたに出来ることがあります。
一般市民の方による迅速な救急通報、迅速な救急蘇生(心肺蘇生や気道異物除去等)は、救急隊や医療機関での処置と比べて、心停止患者の救命、社会復帰に、より大きく貢献するといわれています。
自分の大切な家族、友人、そして隣人が突然倒れたとき、勇気を持って覚えていることを実施してあげてください。