走る時の手は『グー』と『パー』どっちが速いのか
2年前まで小学校部活動の外部コーチを3年間指導していたがよくあった質問の1つです。
私自身も陸上競技を始めた頃どっちが正解なんだろうと疑問に思っていました。
男子200m日本記録保持者の末續慎吾選手に憧れておりましたが、末續選手は「グー」でした。ウサイン・ボルト選手もここにはいります。
そして、男子100m日本記録保持者の山縣亮太選手は、「パー」に近い手の形をしております。また、日本人男子で初めて100m9秒台を出した桐生祥秀選手もここにはいります。
小さい頃の50メートル走や運動会で誰もが一度くらいは考えたことがあるだろう素朴な疑問。しかし、東京五輪のトップスプリンターの手を見てみると、グーだったり、パーだったりする。いったい、どちらが正解なのだろうとふと考えてみました。
まず結論としては、
どっちでもいい
です。
別の人が検証したあるデータのお話ですが、
今月1日に行われた東京五輪の男子100メートル準決勝を走った23人を見てみても、10人がグー、12人がパーだった(ロアン・ブラウニングは左手がパー、右手がグー)。パーがやや優勢なものの、差にはっきりとした有意性はみられなく、決勝で9秒80の欧州新記録で金メダルを獲得したラモントマルチェル・ジェイコブズ(イタリア)はグーだったそうです。
では、なぜ「どっちでもいい」のか。
腕振りは走りに勢いを加える上で重要な役割を果たしますが、手元の形がそれに大きく影響を与えることはありません。大切なことは脚で地面に力を加えるタイミングと腕を振り込んで勢いを与えるタイミングが合っているか、つまり下半身だけでなく上半身が連動し、全身を上手く使えた走りになっているかです。
これが前提にある上で、
個人的に走りやすい方を採用すれば良い
ということです
走りの形を整える方が、手の形よりもっと重要であり、それが陸上界の常識とまでいっていいと思います。
実際に手の形をカスタマイズすることで速度に直結するという論文、データも出ていません。
でも、サッカーは事例があり、
あるプロサッカー選手はグーで肩に力が入りすぎており腕のどこでも力を入れようとすると、肩に連動してしまう。なので『パーにしてみたらどうですか? うまくリラックスできると思いますよ』と伝えたら肩の力が抜け、綺麗に走れました。したがってそういう話があるため野球やサッカーでは、効果が考えられます。
子供たちに伝えること
子供に指導する際は、注意が必要です。
(特に小学生)
子供の指導への捉え方はそれぞれですが、力まないようにリラックスをするよう伝えると、力を抜きすぎてしまう子がいます。
その結果、正しく力を入れることができず、ふにゃふにゃした走りになってしまい、逆に遅くなってしまいます。
なので『リラックス』『力を抜いて』という言葉は使いすぎないということは気をつけています。
もし、子供にアドバイスする時があれば、意識してほしいポイントです。
だから、子供たちには『それよりも、かかとから接地しているから直そうか』という話を優先していき、先述にも述べましたが
走りの形を整える方が、手の形よりもっと重要
ですので、UACA Jr.等への指導の際にも注意してまいります。